あなたは、2021年に本屋大賞を受賞した作品をご存知でしょうか?
今の社会でかなりシビアなテーマを、真っ向から取り上げて秀逸な物語に仕立てたことで高い評価を得た『星を掬う』や『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』などの名作でお馴染みの、町田その子さんによる『52ヘルツのクジラたち』という作品です。
僕は、2021年の本屋大賞を受賞したのは知っていて、ずっと文庫化を待っていたのですがならないので、ついにソフトカバーで買ってしまいました。笑
僕のように買おうか迷っている方・積読しているけど読む時間がないから読みたくなる理由だけ聞きたい方は、楽しめる記事になっています😁
この記事はこんな人におすすめ!
・逃げ場所がなくなったことがある
・抱えきれない気持ちの吐口を探している
・将来に希望が持てない
・人の優しさに触れたい
・しっかり余韻が残る作品を読みたい
あらすじ
「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。
孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会う時、新たな魂の物語が生まれる。
https://www.amazon.co.jp/52%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%84%E3%81%AE%E3%82%AF%E3%82%B8%E3%83%A9%E3%81%9F%E3%81%A1-%E5%8D%98%E8%A1%8C%E6%9C%AC-%E7%94%BA%E7%94%B0-%E3%81%9D%E3%81%AE%E3%81%93/dp/4120052982
以上が、公式のあらすじになります。
次に、個人的なこの作品の主要人物を紹介します。
主要人物
三島 貴瑚(きこ)
本作の主人公。
実母がかなりの「毒親」でネグレクトを受けてきた。
若い時から、義父の介護を押し付けられていて、精神的に朽ち果てて死のうとしている時に、美晴とアンさん(岡田 安吾)に出会う。
少年と出会ったことで、運命が変わる。
牧岡 美晴(みはる)
貴瑚の高校からの友人であり、重要人物。
アンさんとは職場の同僚であり、貴瑚をネグレクトから救った。
同じような毒親を持つ境遇として、貴瑚をずっと気にかけている。
少年
貴瑚に次ぐ、この作品の主人公。
13歳で、母親からの虐待が影響で言葉を話せない。
貴瑚と偶然出会い、あることから「52」と呼ばれることになる。
岡田安吾(おかだ あんご)
美晴の同僚で、「アンさん」と呼ばれている。
貴瑚が置かれている状況を知り、美晴とともに母親から救い出した。
それから、貴瑚に親しまれている
村中 真帆(まほろ)
貴瑚の家の床を直しにきた職人。
貴瑚に好意を持っていて、物語の最後まで関わってくる人物。
この作品は、物語の振れ幅が広く登場人物が多めなので、本を読み慣れていない方は苦戦するかも知れないのですが、以上の人物さえ理解できていれば、とりあえずこの作品は楽しめます!
次に、本題の読みたくなるポイントを4つ紹介していきます。
読みたくなるポイント4選
内容は重いけど、思っているより全然読みやすい
これは、もしかしたらこの作品を読もうとしている方が一番ネックポイントに感じているところかも知れないです。
文庫と違って、ソフトカバーやハードカバーの本ってなんとなく取りづらいですよね、、、
しかも、本屋大賞の作品となるとボリュームがあって、読むのに体力がいる印象があります😅
ぶっちゃけ、この本はしんどいです。
でも、それは内容の話で、文章自体は1日で読めてしまうぐらい軽めなので、普段あまり本を読まない方にもおすすめできる作品です。
人間関係がかなり生々しくてリアル
この作品は、田舎の独特な人間関係と都会で巻き起こる人間模様の両方の視点が描かれています。
普段生活している時に、無意識に嫌悪している部分があると思うのですが、それすらも生々しく描かれています。
また、田舎に住んだ経験がある方であれば共感できるかも知れないのですが、独特の人間関係や根も葉もない噂が周る速さなどもしっかり描かれています笑
それ以外にも、人の嫉妬や恨み、後悔などがこれでもかというぐらい鮮烈に表現されているので、僕は何回かしんどすぎてやめようかと思いました😂
その反面、人の優しさであったり温かさも鮮烈に感じることができます。
人が抱えているものに気づける凄さ
この本を読んで、これから先生きて行く上で気をつけようと感じたのがこれです。
今の世の中って、本当に生きて行くのに精一杯で、他の人がどんな闇や問題を抱えていようと正直あまり気にしている余裕がないのがほとんどなのではないでしょうか。
この作品には、岡田安吾(アンさん)と呼ばれる人が登場します。
美晴や貴瑚がかなり慕っている人物なのですが、人が抱えているものを見極めるだけでなく、可能な限りその状況を改善する手助けをすることができる人です。
物語が進んでいくにつれて、アンさん自身も非常に過酷な現実を抱えているのが分かっていくのですが、その状況にありながらも人を助けようとする姿勢には衝撃を受けます。
なので、いくら自分に余裕がない状況でも、過去に自分を助けてくれた人やこれから先もお世話になる人が声を出せない何かを抱えていると、それに気づけるようになりたいと思えます。
タイトルの意味
あらすじでも少し出てきているのですが、「52ヘルツ」って一体なんなの?って思いますよね。
もう既に公式に上がっているので少しだけ説明すると、
52ヘルツのクジラは、「世界で一番孤独な生物だと言われているクジラの中でも、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界に1頭しかいないクジラ」のことです。
僕は、全く前情報なしで読んだので、意味がわかった時に鳥肌が立ちました。
物語の終盤では、このタイトルがまた違った形で刺さる場面があるので、読み切ることをおすすめします!
最後に
今回は、2021年度本屋大賞、町田その子さんによる『52ヘルツのクジラたち』を紹介しました。
本屋大賞に決定した時から、ずっと読みたいと思いながら手を出せていなかった作品を,やっと読めた達成感と同時に、作品の破壊力にかなり食らってしまいました。
そこまで明るい作品ではないというか、むしろ残酷な現実を表現し尽くしたような作品なのですが、その中でも希望はあると思わせてくれる1冊でした。
ぜひ、手に取ってみてください☺️
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